ダンケルクは大きな港町です。ダンケルクというと映画を思い浮かべる人も多いはずです。若い人なら昨年公開のアメリカ映画「ダンケルク」でしょうが、我々年配者は1965年に公開されたフランス映画の「ダンケルク」です。
第二次世界大戦時、ダンケルクではドイツ軍に追われた英仏軍のイギリス本土への撤退、脱出のための戦いが繰り広げられました。40万人の兵士の撤退のためにありとあらゆる船が集められました。攻防は10日ほど続き、両軍ともに一万人以上の死者と多くの負傷者を出したのです。捕虜も多く、実際に脱出できたのは35、6万人といわれています。勢いづいたドイツ軍はこの後の「パリ占領」へと一気に進んでいったのです。
フランス映画「ダンケルク」はジャン・ポール・ベルモンドが主演でカトリーヌ・スパークが共演していました。原作はフランス人作家の小説「Week-end à Zuydcoote(ズイドコートの週末)」で、映画の原題にもなっています。
アメリカ映画「ダンケルク」と違い、戦争映画というより撤退の最中の兵士と村娘との関わりを描いた映画です。原題のズイドコートとはダンケルクの港へと続く近隣の浜辺のことです。
そもそも、私がパリに行く前にノルマンディーに行こうと思ったのも、アメリカ映画「史上最大の作戦(原題 The Longest Day)」の影響です。連合国軍側の上陸作戦を扱った1962年製作のこの映画には主演のジョン・ウェインを始めリチャード・バートン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダなど当時のスターが勢揃いしていました。私が観たのはテレビの再放送で、3時間にもおよぶ大作のため前後編2週に分けて放送されていました。
もう一つ。ノルマンディーにはイギリス海峡(仏名ラマンシュ海峡)にちょこっと突き出たコタンタン半島という小さな半島があります。半島の北には海峡に面した港町 Cherbourg(シェルブール)があります。
シェルブールといえばカトリーヌ・ドヌーブ主演のフランス映画「シェルブールの雨傘」です。もちろん、この先シェルブールにも行きました。私にとって北フランスの旅は映画舞台を訪ね行く旅なのです。
ダンケルクから40キロ、ドーバー海峡で知られたフランス側の港町 Calais(カレー)へ。晩飯の食料を調達すると、そのまま町外れの畑の中で野宿となりました。[へぇー、働き者なんだ]暗くなる中、遠くで野良仕事をする人影が見えていました。