デンマークが本格的に自転車の利用を推進し始めたのは1990年代に入ってからです。
当時の政府が将来を見すえてクリーンエネルギーやCO2対策の一環として自転車通勤・通学に力を入れるようになったのです。オランダの自転車事情なども参考にしたのではないでしょうか。
一般道における自転車専用道路の整備・拡大、自転車利用時の交通規則の周知・徹底そして罰則の強化、駐輪場の増設、電車内自転車持ち込みの原則無料(長距離を除く)などなど……徹底して実施したのです。
「ヤルときは徹底してヤル」こんな国の姿勢が「国別幸福度ランキング」でデンマークが常にベストスリーを下らない理由の一つかもしれません。
デンマークの自動車取得税は現在150%、以前は180%もありました。この高い税率は自国に自動車メーカーを持たないデンマークとしてはしごく当然のことでしょう。
「通勤には車や電車より自転車の方が早くて楽だし、それにお金もかからない。健康にもいいんじゃない?」こんな感じで自転車通勤・通学が広まっていったのです。
その結果、今ではコペンハーゲンの自転車 通勤・通学は40%になるそうです。改善されていく自転車環境についていったのはむしろ市民の方だったと思われます。
テレビに映し出される映像ではコペンハーゲン市内の中心部の自転車専用道路は明るいブルーでペイントされ、車道とはっきり区分けされています。
自転車道が設けられず苦肉の策として幹線道路の端ッコに自転車のシンボルロゴをペイントしている日本の状況とはかなり違います。もちろんこれはこれでドライバーに「自転車の通行を意識させる」、自転車の方も「安心感をもって走れる」など、それなりの効果はありますが、日本の自転車を取り巻く環境を思うと、さらなる改善を期待したくなります。
デンマークの自転車専用道路の道幅は広く、自転車レーンの左半分(右側通行ですから右端から歩道、自転車専用道路そして車道になります)は混雑時以外は原則追い越し車線として空けておきます。右にゆっくり走る自転車を見て、追い越してもオーケーということです。
バスも一般車両も自転車専用道路に入り込んで駐停車できません。つまり自転車専用道路は常に自転車のみの通行帯として機能しているのです。日本のように停車中の車によって自転車道が遮られることなどありません。
当初、自転車専用道路を横切るバスの乗降客と自転車によるトラブルもあったそうですが、今では注意喚起が徹底されてトラブルはなくなっています。
反面、罰則は厳しく、自転車による信号無視などは一発レッド、即罰金だそうです。自転車通勤・通学が定着しつつある現在、専用道路脇には誰でも使える空気入れが設置されています。
また、ボランティア団体による自転車の整備、修理なども行われています。冬の除雪作業も一般道より自転車専用道路が優先されています。
デンマークの自転車利用に対する取り組み方、何か羨ましいですね。現在、2025年までに国内における自転車通勤・通学50%を目標として掲げています。
最後に気になることを一つ。コペンハーゲンでは信号の切り替えを自転車の速度に合わせてある…?? 何でも一定速度で自転車を走らせると全て青信号のまま目的地に着けるそうです。[ホントかよ?!]
デンマーク人に会ったらぜひ聞いてみたいと思っていますが、残念ながらそのチャンスがありません。